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6/30 特集 Jリート法令違反の波紋(3) |
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◎体制整備次第で信託報酬引き上げの懸念 ―不良債権処理終了後の金融庁裁定に疑問
Jリートコンプライアンス問題の引き金となったのが、米大手金融グループ、JPモルガンによる一連の法令違反。金融庁は、不動産信託絡みの監督・検査体制を整備しつつある。不動産証券化マーケットを後押ししてきた金融機関にも、その対応が迫られる。
JPモルガン、新生信託と続いた信託不祥事は、実は、同じメンバーが繰り広げていた。JPモルガンと合併した旧チェース・マンハッタンのメンバーが、ノーチェックで不動産信託を受託するというビジネスを展開、そのメンバーがそのビジネス様式をそのまま新生信託に持ち込んだ。取り扱い件数は、数百件レベルに上った。処分当時、金融庁の担当官は「経験の乏しさから来る体制の不備。いわゆる専業信託の取り組みに問題があるとは思わない」とし、同庁の監督・検査体制を整備することと併せ、問題の幕引きを匂わせた。金融庁―専業信託間の「あうんの呼吸」があったかにみえた信託不祥事の処理過程。
だが、金融庁が現在パブリックコメントを受付けている信託検査マニュアルに対して、信託業界は不安を隠せない。「信託報酬は安い。運用面でどこまで体制整備を求められるのか。それ次第では、信託報酬を引き上げざるを得ないかもしれない」(信託業界関係者)。こうした空気を察知し、ある証券化アレンジャーは、「これを機に、物件調査費にとどまらず、運営上の信託報酬まで一気に引き上げられる恐れがある」と、懸念を示している。
一連の行政処分に、不動産金融プレイヤーの反発や不満も少なくない。「建て前としてはわかるが」としつつも、元信託銀のノンリコースローン担当者は、「政府が不良債権処理を求め、バルクセールが持てはやされた。あの時はスピード処理を求めながら、不良債権処理が終わった途端、スピードの中身を問い詰めるのはおかしい」と批判する。この批判は、金融庁が不良債権のバルクセール手法を否定することになりかねないだけに意味深い。因みに、オリックス不動産投資法人の処分対象となった物件も、元は破綻した日本長期信用銀行によるバルク案件だった。いわゆる投資家保護を確保した先の、金融当局のバランス感覚が問われることになる。
レンダーサイドへの影響はどうか。「これまでの流れからして、ここでどうということではない」との受け止め方が大勢を占めている。「これまでの流れ」とは、昨年後半のバブル論調や、姉歯事件、日銀の融資規制報道、金融庁の融資チェックなどを指す。金融機関には段階的に融資審査を強化してきたという意識が強い。だが、「違法建築には、厳格に対応しなければならない。これまでは曖昧さも一部あった」(国内大手金融機関)との実態は存在する。「(審査に)多少時間がかかる」との見方は少なくない。
◎資金引けば私募ファンドに淘汰の動きも
今回のJリートコンプライアンス問題について、国内証券プリンシパル部門の担当者は、「ブームに乗って出てきた中小規模や、レジデンシャル系の私募ファンドが、リファイナンス時に淘汰・排除される」と見る。不安定な物件で高い借り入れのファンドから、融資と投資が引き上げられる流れにあるからだ。ある外資金融機関のノンリコースローン担当者は、最近、地方物件だけの私募ファンドから、都心物件並みの担保掛け目(LTV)で融資を求められ、断った。ファンドの多額な要請は、「前回がそうだったから」(外資ノンリコ担当)。先の国内証券プリンシパル担当者は、「Jリートコンプラ問題は、個人投資家を慎重にさせる。これは、Jリート以上に、Jリートを出口想定した私募ファンドにとって大打撃となる」と解説する。
一方、新規案件への融資については、「信託が信頼性を確保すれば、融資しやすくなる」と、大方が歓迎しつつ、その動向に注目している。なお、一連のコンプラ問題を受け、「これは不動産が金融商品になるためのハードル」(外資金融機関)、「Jリートを含む、不動産証券化マーケットは今後とも成長分野。融資を抑え込むことはないだろう」(国内信託銀行)など、前向きな見方も少なくはない。
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| (提供/日刊不動産経済通信) |
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