※こちらは、「Buyouts and Acquisition Financing」 ( 2007.5.22開催 )で講演した内容を編集したものです。

東急リバブル株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業統括部 日本のアクイジションマーケットにおけるビジネスの新潮流 M&Aから派生する不動産売却

東急リバブル・ソリューション事業本部では、今日まで、企業再生に関わる不動産売却を数多く手がけてきました。また、企業再生型のM&Aなど多様なM&Aから派生する不動産売却についても、多くの実績を残しています。M&Aに関わる不動産ソリューションのポイントと当社の取り組みについてご紹介していきたいと思います。

東急リバブル ソリューション事業本部 グループマネージャー 築尾 憲治


M&Aを支援する不動産ソリューション


M&Aに伴う不動産関連ニーズには、主に右図のようなパターンが見られます。一つは、事業継承や会社売却の実施の前段階で、ノンコア不動産あるいはノンコア事業に付随する不動産の売却を行うケース。もう一つは、不動産を所有している2社の合併後、発生した余剰資産や不要資産を売却するケースです。

M&Aに伴う不動産関連ニーズ例


会社売却等における企業価値の算出方法はいくつかあります。一般的に採用されているDCF法や収益還元法のようなインカムアプローチにおいては、事業から得られるリターンをもとに買収価格を算出します。しかし、そこには保有不動産の価値が十分に考慮されているとは言えません。純資産としての不動産にもっと着目する必要があります。不動産が持っている価値を最大限に引き出すことは、買収価格への影響のみならず、バイアウトファンドに対する不動産の最有効活用の提案にもつながり、企業価値の向上に大きく寄与すると考えています。当社では、これらの資産の精査、あるいは有効活用や売却の検討およびその実施を通して、
M&Aを成功に導くサポートを行っています。



不動産売却の手法


第三セクターの再生の手法は、リストラクチャリング、リエンジニアリング、民営化など様々です。この中で私たちがお手伝いができるのは、財務リストラにおける遊休資産の売却や資産の評価替え、民営化した場合の所有資産の民間譲渡など、不動産の流動化によって公共事業やサービスの継続を支援する業務です。具体的には次のような手法を採っています。

(1)セール&リースバック方式

不動産と事業を異なる第三者に売却し、不動産購入者と事業購入者が賃貸借契約を締結するケースです。これによって、収益不動産としての価値と事業としての価値を両立させて売却することが可能となります。当社では、予定される賃貸条件に基づいて、適切な不動産購入者の探索・売却実務を行います。


(2)ノンコア資産の切り離し

一つの敷地を複数の利用用途で使用している場合、コア資産とノンコア資産に分類したうえで、ノンコア資産を切り離して売却するケースです。コア資産は事業売却として、ノンコア資産は不動産売却とすることによって、トータル価値を向上させることが可能です。ただし、一つの敷地を分割することになるため、土地利用状況の把握や分割後の土地に制限が加わることのないよう配慮する必要があります。


(1)セール&リースバック方式
(2)ノンコア資産の切り離し


取組事例


○山口県の工場の売却

この事例は、工場のほか社宅、グラウンドなどに利用されていた20万坪におよぶ広大な敷地の売却案件でした。都市計画法の用途地域においていくつかの用途にまたがっているほか、複数のグループ企業が様々な商品を製造し、発電所や上下水道など工場のライフラインも自前で確保していました。また、戦前から稼働している工場ということもあり、環境リスクが高いことも特徴の一つでした。

この物件の売却においては、再生計画に基づいて個々の事業売却からスタートしました。その進展に合わせて該当するエリア毎に不動産の商品化が求められましたが、20万坪の敷地全体の価値の最大化を常に念頭に置いた戦略の構築が大切です。そこで私たちは、事業売却の際の敷地分割への助言、また、事業売却によって分離される土地と余剰土地の双方が不動産として瑕疵がないよう事業売却先との調整を行うなどのサポートを行いました。

実際、20万坪のうち不動産売却となったのは5万3千坪。東京ドーム3個ぶんです。私たちは市場分析を行ったうえで、敷地を分割して販売する方法を提案。想定される購入者の目的に合わせた区画割りを制作し、都市計画・土地利用を含めた検討・調整を行いました。その結果、製造業者、ショッピングセンター用地、遊技場用地として予定を上回る好条件で売却することができました。

また、対象の土地は土壌改良の必要があったため、複数の土壌改良会社による入札を実施し、最適な改良方法とコストの削減を実現しました。土壌汚染問題をはじめとする環境リスクは重要な問題です。当社は土壌改良会社等と常に情報交換を行い、最善の策をご提案できる体制を整えています。

このように本案件は、事業売却と不動産売却を分割し、さらに不動産を最適な売却単位に分割することで、資産価値の最大化を図ることができた事例と言えます。



○岐阜県の工場

かつて一つの工場だった土地の有休部分に商業施設を建設し、ショッピングセンターとして賃貸している案件でした。同一所有者であるため、工場とショッピングセンターで特段の取り決めがないまま、進入路や駐車場を共用していました。しかし、事業再編によって、工場は事業売却、ショッピングセンターは不動産売却の方針が決定します。ただ、工場敷地内にある進入路と駐車場は、ショッピングセンターの運営上とても重要な要素であり、もし分割によって従前のような利用ができないとなると、商業施設としての価値は著しく低下することになります。したがって、共用部分についてどのように取り決めをするかが資産価値に大きく影響した事例でした。

当社は事業売却先に対して、進入路および駐車場の重要性をご理解いただけるようご説明しました。そして、事業売却先と不動産購入者とによる共用部分に関する賃貸借契約の設定や協定の取り決めを行い、商業施設の価値を毀損することなく不動産売却を実現することができました。

この案件のように、単純な資産分割では資産価値の最大化を実現することができない場合も多々あります。土地の利用形態を十分に把握し、有効的な分割や契約等を行うことで資産価値を高めることができると考えています。



資産価値最大化の要点


M&Aから派生する不動産売却のポイントは、まず、事業価値と不動産価値の双方の最大化を目的とすることが大切です。また、不動産の価値を高めるためには、土地利用の最有効化を図ることが重要です。そして、環境リスクや隠れた瑕疵への対応もまた、私たち不動産関連企業の役割と考えています。当社は、こうした総合的な視点から資産価値の最大化を図ることによって、企業再生やM&Aを成功に導くサポートに取り組んでいます。


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