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復活の地

【Vol.5】 秋葉原〜電気街から東京シリコンバレーへ

 街が持つポテンシャルを活かし、付加価値で都市を進化させる再開発モデル
「アキハバラ」は外国人にも有名な電脳タウンである。かつては電気街として栄えたが、時代の変遷に応じて、マイコン街、パソコン街、PCパーツ街、ジャンク街とその性格を変えてきた。そして今、秋葉原はつくばに直結する新線開通を機に、再び新たなキャラクターを形成しはじめた。
電気街からオタク文化の源、そしてシリコンバレーへの変貌
1870年(明治3年)、火除けの神様である秋葉大権現を勧請(かんじょう)した原っぱが秋葉原の名の発祥だといわれている。当時の秋葉様の原っぱとは千代田区外神田から台東区上野にまたがる辺りだったようだ。そして、かの電気街はかつての市電(都電)ターミナルだった神田須田町にあったが、後に戦災で焼け野原になった現在の秋葉原に引っ越してきたともいわれている。

電気街から発祥した電気・IT関連の街、秋葉原は、1992年の海洋堂出店以降、フィギュアやアニメを中心にしたオタクの街へと様相が変化した。特に中央通り周辺にはその色が濃い。とはいえ、現在もIT関連企業が多く、コンピュータを扱うショップも豊富にある。さらに、電気街はJR秋葉原駅の北側2〜3ブロックとその規模を縮小しつつも存在する。

パソコンが社会に普及し、一時のようなパソコン=オタクの図式は崩れた今も、この街はパソコン好きやアニメ好き、電気製品を求める人で賑わう。電気街の時代から、消費者の貪欲な欲求を満たし続けてきた街なのである。しかしながら、郊外量販店やeコマースが隆盛する時代に物販の集積拠点として生き残っていくには困難である。その危機感を秋葉原に居を構える企業も少なからず持っていた。そこへIT企業と技術研究機関の集積地として、再開発の楔(くさび)が打たれたのである。
昭和40年代初期の秋葉原・中央通の街並。テレビが家庭に普及していったのがこの時代 画像提供=秋葉原電気街振興会 出典:秋葉原ホームページ
※勧請 (かんじょう)…神仏の分霊を他の場所に移し祭ること。
消費から生活・産業創造マーケットを目指す街づくり
平成2年、中央通から見た秋葉原。このころから各メーカーがパソコンを発表しはじめ、秋葉原はマルチメディアの街へ変貌していく 画像提供=秋葉原電気街振興会 出典:秋葉原ホームページ 2005年8月24日開業するつくばエクスプレスの開通に合わせ、JR秋葉原駅周辺の開発が急ピッチで進められている。東京都の所有地1.6haを含む駅前の土地8.8haが対象区域である。地権者の東京都は所有地の売却に“ ITセンターの開発”という条件を付けた。

入札したUDXグループ(ダイビル、NTT都市開発、鹿島建設)は、その条件に沿って入札地のプランニングを行い、2棟のビル建設を進行させた。それが今年3月に竣工した地上31階、地下2階建ての「秋葉原ダイビル」と、来年完成予定の地上22階、地下3階建ての「秋葉原UDX」である。その周辺は「秋葉原クロスフィールド」と名付けられている。

「ダイビル」は産学連携機能が集約された最先端技術の研究、教育、ベンチャー育成機能部となる。 「UDXビル」にはIT&集客機能スペースとして、ショールームやデジタルワークショップ、飲食モールなどが入居する予定だ。また、ITインフラを整備したデータセンターも設けられるという。2007年にはソフトウェアシステムの開発メーカーの「富士ソフトABCビル」が完成予定。ほかにも続々と新たなビル建設が着工している。
もともと日本の都市の中でも秋葉原はIT企業の集積率がトップクラスのエリアであり、日本のシリコンバレーとなりうる要素があった。大学の研究施設を持つつくばと直結することで、産学の連携はより緊密になれる。さらに、東京側の入り口、秋葉原にも研究機関や技術開発のためのセンターを設けることにより、本格的にシリコンバレー化を目指せるようになったのである。

この再開発の中には、今年秋に完成予定の「オリックス秋葉原ビル」と2006年に完成する地上40階建てのタワーマンション、「TOKYO TIMES TOWER」も入っている。前者はオフィス、商業施設からなる複合施設、後者は分譲マンションだ。この2棟は最近顕著になっている都心回帰のニーズにも応えている。同時に、“住む”場所として印象の薄かった消費の街が、職住接近の街へと作りかえられている端緒な例ともいえる。 この秋葉原の再開発は、そのエリアの特徴に付加価値と多機能性を持たせるモデルとしても注目したい。
秋葉原再開発地区
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