| ウォールストリートに接しない投資家 |
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IT株や金融株に手を出さないバフェットは、ウォールストリート(金融街)との接点をほとんど持たない珍しい投資家でもある。短期利益を追わず、不確定な利益も好まない投資法は、彼を「メインストリート(庶民街)の投資家」とも呼ばせる。
そんなバフェットが金融界の王者、「ソロモン社」の危機を救った。1987年に「ソロモン社」の証券子会社、「ソロモン・ブラザーズ」が国債取引に関する不祥事によって、一気に信頼を失墜した時のことである。当時のバフェットは、「コカ・コーラ社」や「ディズニー社」の筆頭株主である「バークシャー・ハザウェイ社」のトップリーダーとして金融業界のトップたちから一目置かれる存在となっていた。「ソロモン社」はスキャンダル以降、株価が低迷し、市場からの資金繰りがつかず、経営破たんの危機のうえ、他社からの買収の危機を同時に抱えていた。そこで、当時の「ソロモン社」CEOであったグッドフレンドがバフェットに同社株の取得を要請したのである。
バフェットは過去にグッドフレンドに対し借りがあったこともあり、筆頭株主となって取締役会で旧経営陣を一掃、一時はCEOに就任して「ソロモン社」を再生させた。しかし、実質的な経営は「ソロモン・ブラザーズ」の新COOに就任したモーンに任せ、自らは相談役として協力する姿勢に徹した。
投資家としても、一企業のマネージャーとしても利益を出し続けている稀な存在のバフェット。もちろん中には「マクドナルド社」への投資の時ように、額面でこそ損を出していないが、運用成績としては失敗したものもあった。だが、失敗もパートナーたちに年次報告書として正直に申告していた。この株主に対する経営者としての正直さも、バフェットは企業に要求している。
現在、「バークシャー・ハザウェイ社」は、パートナーたちに非常に高いコストパフォーマンスで利益を出し続けている。そしてバフェットは、業界からも一目置かれる存在として、今も人々に「最強の投資家」と呼ばれているのだ。
数々のウィットに富むバフェットの言葉があるが、彼の投資哲学を象徴するものを引用しよう。「株式投資の極意とは、いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、いい会社である限りそれを持ち続けること。これに尽きます」(1990年、『フォーブス』より)。
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参考文献/
『最強の投資家 バフェット』(牧野洋著、日本経済新聞社、2005年)
『バフェットの投資原則:世界No.1投資家は何を考え、いかに行動してきたか』(ジャネット・ロウ著、平野誠一訳、ダイヤモンド社、2005年)
『バフェット投資の真髄』(ロバート・G.ハグス著、三原淳雄・小野一郎訳、ダイヤモンド社、2001年)
『賢人たちの投資モデル:ウォール街の伝説から学べ』(ニッキー・ロス著、木村規子訳、パンローリング、2001年)
ほか
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ウォーレン・バフェット Warren Buffett
(1930-) |
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アメリカ、ネブラスカ州生まれの投資家。バークシャー・ハザウェイ投資会社CEO。幼年時代から数字や株式に興味を持ち、父が興した小さな証券会社に出入りしていた。中高校時代はワシントンDCで過ごし、コロンビア大学ビジネススクールで彼の投資哲学の礎、ベンジャミン・グレアム教授と出会う。1956年にオマハへ帰り、自らの投資会社を設立。1969年繊維会社バークシャー・ハザウェイの経営権を握り、1985年には同社を投資会社へと変ぼうさせ現在に至る。 |
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