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【Vol.10】ローカル線の再生で鉄道が面白くなった・南房総

都心からほど近い南房総は、車で気軽に遊びに行ける観光地だ。鴨川シーワールド、マザー牧場、館山、白浜、勝浦など、レジャー施設が充実しており、温泉にも事欠かない。東京湾アクアライン開通以来、道路事情が一変し、より身近な存在となったが、実は“鉄道で遊べる”観光地でもある。関東近郊で唯一SLが走り、お座敷列車が走り、さらに自転車に乗って線路を走ることもできる。海と山と花いっぱいの野原をゆっくり楽しむ、そんなローカル線の旅も一興だ。
二大ローカル線が走る南房総
東京のベッドタウンとして発達している北房総と違い、南房総は観光の街だ。鴨川シーワールドやマザー牧場、東京ドイツ村などのレジャー施設だけでなく、鴨川温泉、白浜温泉、小湊温泉、千倉温泉、木更津温泉、養老渓谷温泉と、温泉地にも事欠かない。

また、温暖な気候が幸いして、四季折々の花が楽しめる場所でもある。春夏はもちろん、真冬でも菜の花やポピー、ストック、キンセンカの花々を楽しむことができる。

そんな南房総を満喫するのに意外に使えるのが“鉄道”である。JR東日本の外房線・内房線の二大路線はもちろんだが、関東屈指のローカル線が二路線走っていることも見逃せない。南房総の自然の中を走る二大ローカル線─ 「小湊鐵道」と「いすみ鉄道」 だ。
海岸沿いの花畑が美しい南房総のワンシーン
テレビ・映画ロケのメッカ 「小湊鐵道」
昔ながらの駅舎や風景を遺している小湊鐵道は、テレビドラマや映画ロケでも頻繁に利用され、知る人ぞ知るローカル線である。最近では、映画「嫌われ松子の一生」、テレビドラマ「砂の器」「特急田中3号」「世界の中心で、愛をさけぶ」などのロケ地に抜擢されている。

そんな小湊鐵道の一つ目のポイントは「懐石料理」だ。真夏の7、8月を除き、毎月のように2〜4回のペースで「懐石列車」が走っている。車内で懐石料理に舌鼓を打ちながら、花多き風景を楽しめるなかなか小粋な列車なのだ。

2つ目は、「自転車」で鉄道を楽しめること。毎年5月と11月のみ、小湊鐵道が保線作業に使用している軌道自転車(オートバイを改造したもの、人力自転車の2種類あり)に乗って、実際の線路上を走ることができ、鉄道ファンにはたまらない。エンジン付きの軌道バイクの方は高校生以上の制限があるが、軌道自転車は誰でも体験可能(小学生以下は保護者の付き添いが必要)。意外な隠れ観光スポットだ。
社長を公募した花の列車 「いすみ鉄道」
JR東日本・外房線の大原駅を起点とするいすみ鉄道は、千葉県の第三セクターだが、実のところ深刻な経営難に見舞われていた。その起死回生策として話題になったのが、 年収700万円を条件に2007年末に実施した「社長の公募」だ。県外・県内含めて300名以上の応募があり、2008年2月に応募者の中から、吉田平氏が社長に選任された。リクルート出身の吉田氏には、バス・タクシー会社経営の経験もあり、その手腕が期待されている。

そんないすみ鉄道の魅力はなんといっても、沿線を彩る花だろう。2008年6月現在、花を今以上に増やし、美しく咲かせるために「花のスポンサー」を募集している。一口1,500円でスポンサーになると、一日フリー乗車券がもらえ、その寄付金は、沿線に植える花の種代として活用される。自分のお金で咲いた花を見るために鉄道に乗るのも、また一興かもしれない。
アジサイなど季節の美しい花で彩られるいすみ鉄道の沿線の風景/※写真提供 いすみ鉄道
日本で唯一、D51が走る南房総
JR東日本も負けてはいない。2007年、2008年と2年連続でSL「D51」を走らせている。これは、JR東日本千葉支社長である原田氏のアイデアによるもの。千葉の鉄道は、幹線・ローカル線含めてアイデア満載という印象を受ける。また、1998年に誕生し、息の長い人気を誇る「ニューなのはな号」という団体専用のお座敷列車も利用してみてもおもしろい。列車は貸しきりで、ボックスシートタイプと畳敷きのお座敷タイプが選べるので楽しい。幹事様向けのミーティングルームまで完備されている点は、まさに至れり尽くせりだ。

内房線五井駅から始まる小湊鐵道は、養老渓谷を経て上総中野駅でいすみ鉄道に繋がる。いすみ鉄道は、国吉を経て外房線大原駅へ。ちょうど南房総を横断する形だ。天気が良い日に、一日、ローカル線に揺られてみるのも悪くない。
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