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【Vol.13】「ドライミスト」で街をひんやり。都会のヒートアイランド対策は昔ながらの打ち水効果

2005年の「愛・地球博」に、夏の暑さ対策として活躍した冷却装置「ドライミスト」が、今年、都内でも続々登場している。人工的に細かい霧を発生させ、周辺の気温を下げることができるというこのシステムは、ヒートアイランド現象の緩和を目指して、開発されたものだった。
六本木ヒルズ、JR秋葉原駅前の“アキバ・ブリッジ ”など続々登場
高密化する都市では、オフィスビルや商業施設からの空調の熱や、アスファルトやコンクリートへの反射熱によって、年平均気温が上昇する傾向にあるという。東京都では、過去100年で3℃もの上昇が記録され、いわゆるヒートアイランド現象が起こり、問題になっている。

あたかも熱帯雨林地方のスコールのような豪雨(10mm/時間以上)が頻発したり、熱中症の発症率が高まったりと、このヒートアイランド現象は、地球温暖化とともに、都市部では特に問題視されており、東京都では、ヒートアイランド対策の一環として「ドライミスト」の設置を支援することとした。

「ドライミスト」は、非常に細かい水の粒子で、人工的な霧を発生させ、水が液体から気体に変わる時の気化熱を利用して周辺の気温を下げるというもの。2005年の「愛・地球博」では、環境にやさしい冷却装置としてパビリオンに登場し、好評を博した新システムだ。

都は、2006年に「JR秋葉原駅前西側交通広場“アキバ・ブリッジ” 」と、品川区の「戸越銀座商店街」の2ヵ所 を「東京都環境局ヒートアイランド対策ドライミスト設置補助認定事業」として認定、2006年8月までに続々と稼動が開始された。

7月には六本木ヒルズ「66プラザ」の一角にも先駆けて設置され、報道陣へ公開となり、話題になったこのシステム、どのような仕組みになっているのだろうか。


都内のヒートアイランド対策として「ドライミスト」が採用されたJR秋葉原駅前西側交通広場“アキバ・ブリッジ”


ヒートアイランド現象の緩和をテーマに開発された地球に優しい冷却装置
愛・地球博での水のサーカス広場で稼動するドライミスト。水とわずかなエネルギーで周辺に「涼」を作り出す
「ドライミスト」は、経済産業省中部経済産業局が公募した地域新生コンソーシアム研究開発事業として、名古屋大学、中部電力、能美防災、川本製作所、トーキン、清水建設の6社が共同開発したもので、2005年の「愛・地球博」でその姿を現した。

わずかなエネルギーで微細な水滴を噴霧し、周囲の気温を下げるという。 「愛・地球博」では、「グローバル・ループ」や「オーストラリア館」の待合空間や、「ワンダーサーカス電力館」の前庭、待合空間で、涼しげな霧を噴射していたスプリンクラーのような装置がそれである。

一般的に、霧を噴霧すると、湿度が上がってべたついたり、水滴で衣服や肌が濡れるのでは?という危惧があるかもしれないが、「ドライミスト」システムで発生させたミスト(霧)は、約2,000個のノズルから噴霧され、噴霧するミストの粒径は16ミクロンという細微さ。

空気中に噴霧するとすぐ気化するので、衣服や肌に到達する前に蒸発してしまい、通常のミストのような湿気によるべたつきも感じさせることはない。名前通り、 「乾いた霧=ドライミスト」なのだ。

また、噴霧装置にも様々な工夫がなされており、風による水滴の落下を防止する仕組みもその一つだ。人や衣服を濡らすことがないのはもちろん、気温、湿度、日射、風速、降雨などを各センサーが察知し、自動運転制御するようになっていて無駄がない。温度を下げる能力は、家庭で使用するエアコンのわずか1/20程度のエネルギーで済むという。

温度を下げようと空調を盛んに使用すればするほど、その排熱による気温上昇を招くと言う悪循環を断つためには、極力少ないエネルギーでの空調が必要となってくる。

「ドライミスト」は、発生させた霧が気化するときに周辺の熱を奪うという日本古来の習慣でもある、“打ち水効果”を狙った、古くて新しい先端技術なのだ。実際の稼動では、設置条件により、2〜3度の気温を下げることが可能だ。


イメージは森の森林浴?様々な技術課題をクリアして環境に貢献
「ドライミスト」の開発段階では、いかに小さなエネルギーで効率よく霧を作るかということと、人が水滴を感じないレベルまでの微細な粒子の霧を創り上げること、また気象条件によって噴霧を制御することなどが技術課題として挙げられた。

また、ミストの蒸散量については、森のクスノキ林の真夏の蒸散量(7.5cc/分/m2)を基準としている。植物が水分を蒸発させて自らを冷却する森のシステムを、樹を植えることのできない場所に再現するような形とした。

様々な課題をクリアして誕生した「ドライミスト」は、冷却装置というよりは、「涼」の製造機。涼しげな霧のシャワーが、真夏の炎天下に降り注ぎ、周囲に涼をもたらす。少ないエネルギーで動き、CO2の削減にも貢献するエコロジカルな夏の新顔だ。今後も、イベント会場や、各種交通機関の待合所、アーケードなどの施設で取り入れられることが期待されている。
参考資料/
シミズテクニカルニュース「テクノアイ」 http://www.shimztechnonews.com/index.html
なごミスト http://www.davinci.nuac.nagoya-u.ac.jp/~harada/mist/top.html
愛・地球博 エコロジーレポート http://www.expo2005.or.jp/jp/E0/E3/eco_018.html
取材協力:能美防災 http://www.nohmi.co.jp/
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